市民協働で地域課題を解決!小山市シビックテック講座に学ぶ自治体DX

デジタルを活用した地域課題の解決を目指す自治体が増える中、「住民を巻き込む方法がわからない」「ITスキルの高い人材が地域にいない」といった課題に直面していませんか?

栃木県小山市では、DX推進係が主体となり、市民自らが地域の困りごとを解決する「シビックテック入門講座」を開催しました。本記事では、IT未経験者を巻き込む独自の講座設計やプログラムの展開、実際に誕生したアイデア事例を詳しく解説します。さらに、秋田をはじめとする地方自治体や町内会・NPOが、ノーコードツール(Glide)やGoogle Workspaceを活用して同様の取組をスモールスタートさせるための具体策も提示します。

栃木県小山市「シビックテック入門講座」の事業概要

栃木県小山市の「シビックテック入門講座」は、市民協働による持続可能なまちづくりを目指して設計された実践型プログラムです。

行政が主導してシステムを開発・提供する従来のアプローチとは異なり、市民自身が課題を抽出し、デジタルを活用して解決策を形にするプロセスの習得を目的としています。

項目内容
事業名地域の困りごとを解決!小山市まちづくり講座|シビックテック
実施主体栃木県小山市(業務改善推進課 DX推進係)
事業目的デジタル技術を活用して市民自ら地域課題を解決する手法を学び、市民協働によるまちづくりを推進する
対象・定員市民30名(先着順・IT未経験者歓迎/スマホまたはPC保有者)
実施形態全4回(対面2回 + オンライン2回/各回3時間)+ 希望者向けハッカソン
主な成果物課題解決に向けた1枚の企画シート、およびハッカソンでのプロトタイプ

IT未経験者を巻き込む3つの工夫とねらい

本講座が募集枠を早期に埋め、幅広い世代を巻き込めた理由は、徹底的に「参加ハードル」を下げた企画設計にあります。

一般的に「シビックテック」や「DX」という言葉は専門的に聞こえがちですが、小山市では以下の3つの工夫を取り入れました。

  1. 「IT知識」ではなく「日常の困りごと」を起点にする
    「プログラミング講座」ではなく「まちづくり・困りごと解決講座」として周知を行いました。「スマホ操作ができればOK」と明確に打ち出すことで、IT未経験層の心理的ハードルを取り除いています。
  2. 汎用的な企画思考スキルの提供
    「課題整理 → 原因分析 → アイデア創出 → 1枚企画書作成」という思考プロセスを学ぶ構成とし、受講者が自治会やPTA、本業の業務改善にもそのまま還元できるスキルが得られる仕組みとしました。
  3. ハッカソン(試作開発)への継続導線
    全4回の講座でアイデアをアイデア倒れに終わらせず、希望者が実際のアプリやシステムの試作(プロトタイプ)開発に挑戦できる「ハッカソン」への参加導線をあらかじめ組み込みました。

対面×オンラインを組み合わせた4ステップのプログラム構成

本講座は、キックオフと成果発表を「対面」で行い、中間の検討フェーズを「オンライン」で実施するハイブリッド形式を採用しています。

短期間でチームの結束を高めつつ、参加者の移動負担を軽減する実務的な構成です。

第1回(対面/市役所):シビックテックとは・課題の共有

シビックテックの概念や先進事例を講義形式で学んだ後、受講者が各自持ち寄った「身近な困りごと」を付箋で共有。関心テーマごとにチームを結成し、次回以降使うオンラインツールの操作手順を確認しました。

第2回(オンライン):課題の明確化と原因分析

「なぜその問題が起きているのか?」について、講師のガイダンスのもとグループワークを実施。表面的な現象だけでなく、問題の根本原因をロジカルに整理・共有しました。

第3回(オンライン):解決アイデアの創出と企画作成

整理した課題原因に対し、デジタルや仕組みを活用した具体的な解決アイデアをブレインストーミング。1枚の標準化された「企画シート」へ落とし込み、解決アプローチを構造化しました。

第4回(対面/市役所):成果発表会

各チームが作成した企画シートを基にプレゼンテーションを実施。総務省地域情報化アドバイザー等の専門家や市職員からフィードバックを受け、次フェーズのハッカソンに向けたブラッシュアップを行いました。

運営のポイント

講座時間外でのオンラインコミュニティ運用(見逃し配信の共有や問い合わせ対応)や、操作不慣れな参加者を一対一でサポートする専門スタッフを配置したことで、脱落者を出すことなく円滑な進行を実現しています。

受講生のアイデアから誕生した「補助金コンシェルジュ」の事例

本講座から派生したハッカソンでは、行政課題や地域生活に直結する数多くの優れたアイデアが提案されました。

代表例が、ハッカソンで「おやま未来創造賞」を受賞した「補助金・助成金コンシェルジュ」です。

  • 背景にある課題: 自治体の補助金制度は種類が多く、市民が「自分が対象になる制度」を市公式ホームページ等から探し出すのが難しい。
  • 解決策のコンセプト: 画面上の簡易な質問(年代、目的、居住地域など)に数回答えるだけで、利用可能な補助金・助成金を自動で判定・案内するWebサービス。
  • 創出された価値: 市民の検索ストレスを大幅に軽減するとともに、問い合わせ対応を行う窓口職員の業務負担軽減にも寄与する双方にメリットがある仕組み。

子育て情報・交通手段・自治会の担い手不足といった多角的なテーマに対し、市民自身の視点から実現性の高い解決アプローチが生み出されました。

【B2B考察】他自治体がシビックテック・地域DXを成功させるためのポイント

小山市の取り組みは非常に先進的ですが、他の自治体や地方団体が同様の施策を進める場合、「ハッカソンの段階でプログラミングができるエンジニアが地域に存在しない」という壁に衝突しがちです。

この課題を突破し、地域DXを持続可能な形で実装するための具体策を考察します。

1. ノーコード(Glide)× Google Workspace による超速プロトタイピング

高額なシステム開発を発注したりプログラミング技術者を一から育てたりするのではなく、ノーコードツール(Glide)を活用するのが極めて有効です。

  • 即時アプリ化: Google スプレッドシートやGoogle フォームで集めたデータを連携させることで、非エンジニアの職員や市民でも数時間〜数日でWebアプリを構築可能。
  • コスト削減と柔軟性: 初期費用を低く抑えられ、現場のフィードバックを受けた改善・修正がその場で完結。

例えば、地域のお知らせやゴミ出しカレンダーを整理するアプリ(町内会デジボ等)も、Glideを活用すれば自治会単位で迅速に導入・検証できます。

2. LINE公式アカウント等、既存インフラの活用

新しいアプリのインストールを求めるのではなく、市民が日常的に利用しているLINE等をインターフェースに設定します。

Google フォームで入力を受け付け、GAS(Google Apps Script)を介してLINEへ自動通知するような簡易構成を組むことで、利用率の高い地域DX施策を設計できます。

3. 「プログラミング不要」の広報戦略

集客時は技術用語を前面に出さず、「地域の困りごと解決」「1枚企画書の書き方」といった実用的なスキル獲得をアピールすることが、多様な市民層を集めるカギとなります。

よくある質問(FAQ)

IT未経験の高齢者やWebツールに不慣れな市民でも参加できますか?

問題なく参加可能です。

小山市の事例でも「スマホ操作ができればOK」とし、アイデア整理や課題分析といった思考プロセスを重視しています。操作に不安がある参加者向けに、オンラインツールの使い方を補助するサポートスタッフを配置することで円滑に運営できます。

講座開催に必要な予算や運営体制の目安はどのくらいですか?

規模によりますが、スモールスタートが可能です。

外部講師・専門家への謝礼、サポートスタッフの人件費、会場費が主な費用となります。ノーコードツールやGoogle Workspace等の無料・低コストな既存インフラを運用基盤に採用すれば、ツール利用料を最小限に抑えた運用が可能です。

講座で出たアイデアを「一発屋」で終わらせず、実装・運用へ繋げるコツは?

ハッカソン等の開発フェーズのセット化と、ノーコードによるプロトタイプ作成が有効です。

講座で企画書を作成した直後に、実装を試みるハッカソンや体験会を連続して設置することがポイントです。重厚なシステム開発を目指すのではなく、Glide等で「動く試作品(プロトタイプ)」を素早く形にし、成功体験を共有することがコミュニティ定着へ繋がります。

まとめ

栃木県小山市の「シビックテック入門講座」は、IT未経験者を巻き込む丁寧なステップ設計と、対面・オンラインを交えた運用によって、市民協働の地域課題解決を形にした優れたモデルケースです。

地域DXを推進する上で重要なのは、高度なシステムを一から作り込むことではなく、「課題を抱える市民や現場の意見を吸い上げ、ノーコード等の扱いやすいツールで迅速に検証・改善を回す仕組み」を整えることです。

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Civic Tech Akitaでは、自治体・町内会・NPO向けのノーコードツール(Glide)導入支援や、LINE・Google Workspaceを活用した業務効率化コンサルティングを行っています。

「自地域でもシビックテック講座を開催したい」「地域課題をデジタルで解決したい」とお考えの担当者様は、ぜひお気軽にご相談ください。

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