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今回紹介するのは、映画「空飛ぶタイヤ」です。この映画は、2002年に発生した三菱自動車製大型トラックの脱輪による死傷事故、三菱自動車によるリコール隠し事件が元ネタとなっている物語です。
作家池井戸潤はこの作品について「まともに経済小説を書こうと思って書いたのは、これがはじめて」と語っています。そして池井戸潤自身も初の映画作品となります。
実際にあった横浜母子3人死傷事故
2002年1月10日、神奈川県横浜市瀬谷区下瀬谷2丁目交差点付近の中原街道で事故は発生しました。
大型トレーラートラックトラクターは綾瀬市内の運送会社が所有する重機を積載して、片側2車線の走行車線を走行中でした。その大型トレーラートラックトラクターの左前輪が外れて、下り坂を約50メートル転がり、ベビーカーを押して歩道を歩いていた大和市在住の母子3人を直撃してしまいました。母親(当時29歳)が死亡し、長男(当時4歳)と次男(当時1歳)も手足に軽傷を負ったという悲しい事故が実際起こり大きなニュースとなりました。
神奈川県警が貨物自動車の実況見分を行ったところ、事故を起こした車両はハブが破損し、タイヤやホイール、ブレーキドラムごと脱落したことが判明します。
これに対して当初三菱自動車工業は一貫して「ユーザー側の整備不良が原因だ」と主張をしました。しかし、事故を起こした車両と同じ1993年に製造された三菱自工製のトラックに装着されている「D型ハブ」の厚みが、その前後の型や他社製よりも薄い構造だったことが分かります。そして、ねじ締付け管理方法を怠り、六角ボルトの締付トルクを強く掛けすぎた場合やカーブや旋回時に掛かる荷重により金属疲労が生じ、ハブが破断しやすいことも判明します。
映画の題材となった三菱リコール隠し事件とは
三菱リコール隠し事件とは、2000年7月6日に運輸省の監査で発覚した三菱自動車工業の乗用車およびトラック・バス部門(通称:三菱ふそう)による、大規模リコール隠し事件です。
その後、2004年にはトラック・バス部門のさらなるリコール隠しが発覚して乗用車部門も再調査され、国土交通省によると2000年時点の調査が不十分だったことが判明しました。これにより三菱自動車工業・三菱ふそうはユーザーの信頼を失い販売台数が激減します。また当時の筆頭株主であったダイムラー・クライスラーから資本提携を打ち切られ深刻な経営不振に陥りました。
なかなか辛口な評価となった映画
この映画は元なっている題材が重く、深いだけに約2時間で表現するにはとても難しかったとようです。
確かに池井戸潤が描く企業小説や経済小説と呼ばれる作品は、複数企業の組織概要と人物相関、また主要登場人物の生き様を見せつつ、不正に立ち向かうという描き方のためとても情報量が多いです。そこについて2時間で表現することで駆け足でなぞった印象を受けるのはしょうがないかもしれません。
しかし、何かに偏ったこだわりはなく事件が河相結する終わり方なのでとても見やすい映画であると思います。また、キャストも端から端まで有名俳優で、台詞も回想さえもない、亡くなった母の遺影だけに谷村美月さんを起用する徹底ぶりは豪華すぎるといっても過言ではありません。
そして事故によって失なわれた命の大切さ、それを他人事として受け止める社会、会社の中で組織に飲み込まれる正義、社員や仲間を信じ、突き進む勇気を表現できるのがこの映画の見どころでもあります。
企業小説や経済小説は興味がないと読むのも結構しんどいと思います。しかし池井戸潤の小説はしんどさを感じさせません。それは物語の先がとても気になる表現がされるからだたと思います。そして最後には事件の決着が明確につくからだと思います。
「空飛ぶタイヤ」は内容がとても重いものだと思いますが、安心して結末を迎えられる映画ではないでしょうか。
映画「空飛ぶタイヤ」はチャンネルNECOで放送!
詳細は、公式ホームページへ!!
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